手塚治虫記念館 河合館長にインタビュー!大好きな『アドルフに告ぐ』のことや「手塚治虫の知られざる伝説」や「記念館の見どころ」を教えてもらったよー!

じょにすけ
マンガタリライター、じょにすけです。

今回は、宝塚市立手塚治虫記念館館長をされている河合晋一(かわい しんいち)さんにインタビューさせていただきました!

河合館長
手塚治虫ファンのために、日夜いろんな企画を考えたり、運営してくれてる方。毎日のように手塚ワールド、手塚作品に囲まれてる羨ましい人でもある。

そんな河合館長に、

  • 一番衝撃を受けた大好きな手塚作品について
  • 手塚先生の知られざる伝説
  • 開館25周年を迎え、新しく生まれ変わる記念館のこと

などなど

ファンなら思わず手塚作品を読み返したくなっちゃうような面白い話をいろいろ聞かせてもらえました。

いつか記念館に行きたいと思っていた人はもちろん、手塚作品をあまり読んだことがない。という人や、記念館のことを知らなかった人にも興味深い内容になっていると思います。

どうぞご覧ください!

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1、第7代手塚治虫記念館 館長 「河合」さんってどんな人?

ベレー帽をかぶった素敵な河合館長

ファンからすると、館長さんがベレー帽を愛用してる。っていうのは、なんか嬉しいですよね。笑

河合館長がどんな人なのか?お聞きしました。

1−1 衝撃を受けた手塚作品との出会い〜記念館の館長になるまで

じょにすけ
まずは、どのような経緯で館長になったのか教えてください
河合館長
当館は、宝塚市立の施設なので市役所の職員が働いています。僕も地方公務員になって、人事異動でここにきたんですよ。

僕はもともと観光企画課という宝塚市の観光をPRする仕事をしていました。宝塚といえば「宝塚歌劇」が有名なんですけど、その他にも「宝塚温泉」やこの「手塚治虫記念館」も含めてずっとPRをしてきました。

じょにすけ
落ち着いてて綺麗ないい街ですよね。
河合館長
ありがとうございます。
じょにすけ
河合館長は何代目の館長さんなんですか?
河合館長
僕で7代目になります。
じょにすけ
7代目なんですね!!

ちなみに、手塚治虫ファンからしたら記念館の館長って憧れの存在なんですけど、、どうしたらなれるんですか?

河合館長
僕はたまたま運が良かったですね。

まずは、宝塚市の職員になってください。笑

人事異動なので絶対とは言えないんですけど、、

希望を出して、頑張ったらなれるかもしれません。

じょにすけ
手塚先生のことが好きで館長になれたら幸せですよね!

もともと手塚先生のことはお好きだったんですか?

河合館長
大好きです!

高校生の時に読んだ最初の手塚作品が『アドルフに告ぐ』だったんですよ。その時に物凄い衝撃を受けて。手塚治虫って凄い人だな〜、って。

その時は、まさか自分が手塚先生に携わる仕事ができるなんて思ってなかったので、今はやっぱり嬉しいですね。笑

 

1−2 『アドルフに告ぐ』が1番好きです!

じょにすけ
館長さんの一番好きな漫画はなんですか?
河合館長
やっぱり『アドルフに告ぐ』が僕にとっては1番ですね。
じょにすけ
河合館長にとっての最初の手塚作品ですね。

それにしても『アドルフに告ぐ』って…また刺激の強い作品から入りましたね。

河合館長
普通は、『鉄腕アトム』などのメジャーな作品から入る人が多いと思うんですけど、僕は先生の晩年の作品から入ってしまいました。

『アドルフに告ぐ』は、劇画風というか、重厚で大人のテイストに仕上がっています。この作品を高校生の時に読んじゃったので、インパクトはもの凄かったですね。笑

アドルフに告ぐ 4
河合館長
この作品には3人のアドルフが登場します。

1人は歴史的にも有名な「アドルフ・ヒトラー」ですね。

あとの2人は、「カウフマン」と「カミル」という先生が作られた架空の人物だと思います。

第2次世界大戦という激動の時代の中で、2人のアドルフの友情と確執。そして、ヒトラーとの運命的な巡り合わせが描かれている斬新で壮大なストーリーの作品です。

じょにすけ
すごいメッセージ性の強い作品ですよね。
河合館長
ストーリーのクライマックスで、ナチスの収容所でユダヤ人を殺すことを強要された1人のアドルフが、

「子どもに殺しを教えることだけはごめんだ」

というセリフがあるんですけど、、

それは今でも残ってます。

じょにすけ
手塚先生の作品は教訓になったり、考えさせられることがいっぱいありますね。

ちなみに、なんで『アドルフに告ぐ』から入ったんですか?

河合館長
これはほんと偶然なんですけど、、

もともと本が好きでよく本屋に行ってたんですよ。

で、『アドルフに告ぐ』が目にとまったんです。ちょうどその頃、第二次世界大戦を歴史の授業でやってた時で。

じょにすけ
ピンポイントだったんですね。
河合館長
そうなんですよ。それがたまたま手塚先生の作品だったんです。
じょにすけ
えっ!じゃあ、初めは手塚先生の作品ということは知らなかったんですか!!!???
河合館長
知らなかったです。

「手塚治虫」という名前はもちろん知ってたんですけど、作品を読んだのはそれが初めてでした。

でも、すごい気になって、お小遣いをはたいて全巻買っちゃったんですよ。

だから今でも持ってます。笑

じょにすけ
それ、すごいわかります!手塚先生の作品ってなんか捨てれないし、売れないですよね。
河合館長
ほんとその通りですね。今では家宝になってます。

河合館長には、この他にもおすすめの手塚作品をご紹介していただきました。よかったらまた後ほどご覧ください!

 

2、みんな知ってる?手塚治虫の面白いエピソードを紹介!

じょにすけ
手塚先生の面白いエピソード話などあれば、ぜひ聞かせてください。
河合館長
僕はご本人にお会いしたことはないんですけど、いくつか伝え聞いた話があるので、それをお話しさせていただきますね。
じょにすけ
よろしくお願いします!

2−1 血液型は間違っていた!

河合館長
これは有名な話なんですけど、

手塚先生は自身の血液型をずっとB型だと言っておられました。ただ、実際はA型だったんです。

戦時中の血液検査でB型と診断されて、それを信じていたんですけど、戦後に再検査したら、実はA型だったと。

ご本人は、「自分はB型だからおおらかで責任感がない。」と仰ってたみたいですが。

じょにすけ
血液型の問題じゃなかったんですね。笑

 

2−2 ベレー帽をよく失くしていた!

じょにすけ
手塚先生といえばベレー帽のイメージが強いんですけど、ベレー帽に関するエピソードはありませんか?
河合館長
ベレー帽は、手塚先生が尊敬されていた漫画家の横山隆一(よこやま りゅういち)先生に影響を受けたと聞いてます。
横山隆一

漫画家、アニメーション作家。1930年代に若手漫画家グループ「新漫画派集団」を結成。戦中、戦後初期の漫画界を牽引。代表作『フクちゃん』

河合館長
あと、僕も今被ってる通り、ベレー帽っていうのは便利で、オフィシャルでもアンオフィシャルでもずっと被ってていいものなんです。

そういった理由もあって、先生もずっと愛用なさってたんじゃないかと思います。

じょにすけ
確かにずっと被ってるイメージです!

きっと何個も持ってたんですよね。

河合館長
何個も持ってみえたと思います。ただ…

先生は、よくタクシーでベレー帽を忘れられてたみたいで、、

テレビの対談前に慌ててスタッフの人がベレー帽を買いに行った。っていう話も残ってます。笑

 

2−3 生涯で700作品を生み出す忙しさの中、恐るべき速読でインプットを絶やさなかった

河合館長
あとは、本を読むのがめちゃめちゃ速かったそうです。

手塚先生は、生涯で約15万枚、700作品。と、漫画を描きまくってた人です。

「いつ本を読む時間があるんだ?」という感じなんですけど、

芥川賞、直木賞などを受賞された作家さんの本はもちろん、みんなが驚くくらい多くの本を読んでました。

なぜそんなことができたか。というと、斜め読みが得意だったみたいで、例えば、「300ページぐらいの本だったら10分くらいで読めるよ。」と仰ってたとか。

じょにすけ
えええっ!超人ですね。笑

それにしても700作品ってすごい数ですね?

河合館長
すごいですよね。

僕も今、半年間かけて手塚作品を読んできたんですけど、今は700作品中の35作品です。

じょにすけ
道のりは長いですね。笑

しかも手塚作品って1つ1つが重たいというか、、

河合館長
そうなんです。ちゃんと読まないと。

35作品読むのに半年かかったので、このペースで行くと1年で70冊。1年経ってもまだ1割しか読めないんです。

これを全部描いたっていうのは本当に凄いことですよね。

じょにすけ
凄すぎです!!
河合館長
戦後のストーリー漫画の礎を作られた方ですからね。
じょにすけ
手塚先生がいなかったら、今の漫画はどうなってたんだろう?って思います。
河合館長
ほんとそうですね。よくぞ戦争を生き延びてくれたなと思います。

戦時中も空襲を体験されて、近くに爆弾が落ちた、という話もされています。

あと少しズレてたら、、って考えると、ほんと奇跡ですよね。

手塚先生のことは、この他にも

  • 実は自分の絵にコンプレックスを持っていた
  • 尋常じゃないレベルの記憶力だった
  • 漫画を寝ながら描いていた
  • ガタガタ動くタクシーの中でも正確に描いていた

など、いろんな話を聞かせていただきました。

人間味のある神さまの話が聞けて、僕はますます手塚先生のことが好きになりました。笑

 

3、開館25周年を迎え、生まれ変わる手塚治虫記念館!?

じょにすけ
そもそも記念館はどのような経緯で誕生したんですか?
河合館長
宝塚は、手塚先生が5歳から24歳までの20年間住んでいた街です。

宝塚での幼少時代の体験…例えば、昆虫採集や宝塚歌劇などが手塚先生の漫画家としての原点になっている。とご本人も仰っています。

なので、遺族の方にも相談して、この宝塚に記念館を建てることになりました。

阪神淡路大震災の前年、1994年4月25日にオープンして、2019年は25周年を迎えることになります。

じょにすけ
25周年を迎えるにあたってリニューアルされる、ということを伺ったんですけど、なぜリニューアルされることになったんですか?
河合館長
25年も経って老朽化しているところがあるので、その修復などですね。

どのようにリニューアルするか詳しくはまだ言えないんですけど、

2018年12月25日から2019年3月31日(予定)までの期間

休館させていただくことになります。

そして、4月1日(予定)にリニューアルオープンします。

ぜひ綺麗に生まれ変わる記念館を楽しみにしていてください。

まさに火の鳥どんな姿に生まれ変わるのか?楽しみですね。

 

4、館長イチ推しスポットは「手塚治虫ライブラリー」

じょにすけ
館内で一番のおすすめスポットはどこですか?
河合館長
「手塚治虫ライブラリー」ですね。そこには約2000冊の手塚作品が並んでいるんですよ。ぜひそこで手塚先生の漫画を読んでいただきたいですね。

もちろん、手塚先生の生い立ちがわかる展示室もゆっくり観ていただきたいんですけど、作品を読んでもらえたら、どれだけ凄い漫画家かわかっていただけると思います。

海外で出版された手塚作品なども読める「手塚治虫ライブラリー」

じょにすけ
確かにライブラリーは最高ですね。僕も以前、来た時に読ませてもらったんですけど、手塚作品って、今の漫画喫茶とか行ってもなかなか置いてないんですよね。約2000冊も揃ってる、っていうのは貴重だと思います。
河合館長
読み始めたら開館の9時半から夕方5時の閉館までずっと居ても足りないぐらいですよね。
じょにすけ
帰れなくなっちゃいますね。笑

ちなみに時間内であれば、ずっと居ても大丈夫なんでしょうか?ご迷惑だったりしないんですか?

河合館長
もちろん大丈夫ですよ。笑

再入館も可能なので、一旦ご飯を食べに外に出られて、また来ていただいても大丈夫です。

とにかく手塚作品にいっぱい触れていってもらいたいですね。

あと、手塚作品を読んでいく楽しみの1つとして「スターシステム」があります。

スターシステムとは?

元はハリウッド映画で使われていた言葉。マンガにおいては、キャラクターを映画俳優のように扱い、1人のキャラクターがいろんな作品によって違う役を演じること

河合館長
これは先生が開発したシステムで、同じような姿形のキャラクターが作品をまたいで何度も登場するんです。

ちなみに僕は最初、ランプって『アドルフに告ぐ』だけのキャラクターだと思っていたんですけど、いろんな作品に出てくるんですよね。

じょにすけ
確かにいろんな手塚作品を読みだすと、、

あっ、またランプ出てきた!

みたいな感じで嬉しいし、どんどん愛着が湧きますね!

この後、いっぱい読ませていただきます。

河合館長
ぜひゆっくりしていってください。

 

5、年に約3回開催!手塚治虫の新たな魅力を感じられる企画展もオススメ!

年に約3回のペースで開催されている企画展

河合館長
今は、11月3日、手塚先生の90周年の誕生日から

「OSAMU TEZUKA MANGA NO KAMISAMA Ⅰ(アン)〜フランスからみた手塚治虫〜」

が開催されています。

フランス語で数字の1を「アン」と呼びます。

手塚先生の「漫画の神様」としての偉業を、フランスのキュレーター(学芸員)の方が、

時代別に5つの章に分けて細かく分析されました。

今やっている1(アン)は2018年12月24日までで、

5章のうちの第3章までが展示されています。

そして、2019年4月1日(予定)からは4章、5章を展示。という流れで展開していきます。

じょにすけ
えええ!ということは今展示されてるのはもう後ちょっとしか見れないんですね。
河合館長
そうなんですよ。

今回はあまり期間がないんですけど、ぜひぜひ皆さんに観に来ていただきたいなと思っています。

じょにすけ
フランスといえば漫画人気が高いですし、フランス発の漫画も多いですよね。
河合館長
バンド・デシネですね。
バンド・デシネ

フランス・ベルギーを中心とした地域の漫画。日本の漫画・アメコミとともに世界3大漫画の1つと言われている。

じょにすけ
フランスの人たちが手塚作品をどう見てるのか?はすごい興味深いですね。
河合館長
展示されている解説文は、フランスのキュレーターの方が独自の視点で書いたものをそのまま直訳しているので、手塚治虫の新たな魅力を発見できる企画展になっています。
じょにすけ
いやー楽しみです!!

そして2019年4月からは第2部が始まるわけですね。ということは、今やっている3章までを見ないと、、、という感じですか?

河合館長
いえいえ、そんなことはないですよ。4章、5章だけでも楽しいし、勉強になると思います。

ただ、やっぱり出来るだけ多くの人に1章から通して、楽しんでいただきたいですね。

インタビュー後、企画展を観させていただきました。

フランスのキュレーターの方の解説とともに、手塚先生の初期〜中期の作品の生原稿が間近で観られます。

ぜひお楽しみください!

 

6、「手塚先生の普遍的なメッセージは年齢・国籍問わず、楽しんでもらえると思います。」

最後にこれから来館される方へのメッセージをお聞きしました。

じょにすけ
この仕事をされていて、一番嬉しい瞬間ってどんな時ですか?
河合館長
来館された方が、手塚作品に触れて、すごい満足そうな顔して帰って行かれるのを見る時ですね。

僕も閉館の時にお見送りすることがあるんです。その時に喜んでもらえるのは、やっぱり嬉しいですね。

じょにすけ
僕も初めて来た時は、すごい興奮しました。笑

どんな人にもっと来てほしいですか?

河合館長
それはもう幅広く多くの人に来ていただきたいと思っています。

当時、手塚作品の連載を楽しんでみえたご年配の方から、これからの未来を担っていく子供たち。そして国外からも多くの人に来ていただきたいです。

じょにすけ
今日も外国の方がみえてたんですけど、やっぱり多いんですか?
河合館長
そうですね。たくさんの方に来ていただいてます。
じょにすけ
やっぱり海外でも手塚先生の評価は高いんですね。
河合館長
フランスもそうですけど、台湾でも『鉄腕アトム』が人気だったり。

国籍とか時代が変わっても、やっぱり面白いものは面白いんですよね。

じょにすけ
確かにそうですね。

あとはネット上で、「手塚作品をあまり読んだことがなくても楽しめますか?」という疑問があったんですけど、、

河合館長
全然、大丈夫ですよ!

有名な作品として、『ブラック・ジャック』『火の鳥』『鉄腕アトム』とありますけど、どの作品を読んでも、根本的なメッセージは同じで、

「自然への愛」「生命の尊さ」があります。

ぜひライブラリーに読みに来てください。

まずは、有名な作品から入ってもいいですし、ちょっと短めの作品から入ってもいいと思います。

じょにすけ
最後に記念館に来館される方へメッセージをお願いします。
河合館長
ぜひ、多くの手塚作品に触れにきてください。

そこには手塚先生が生涯をとおして描き続けた「自然への愛」や「生命の尊さ」という普遍的なメッセージが込められています。

そういったメッセージを感じながら楽しく過ごしていただけたら嬉しいです。

 

まとめ

今回は、ベレー帽をかぶり、手塚治虫愛のある河合館長に

  • 手塚先生の意外な一面や超人伝説
  • 開催中の企画展について
  • 館長のオススメ手塚作品

などのお話を聞かせていただきました。

面白い話がいっぱい聞けましたね!

今の姿の記念館、企画展が観られるのは、12月24日までです。

館長さんの話を聞いて俄然興味が湧いた。という方は、この機会にぜひ足を運んでみてください!

じょにすけ

 

↓こちらは手塚治虫記念館をより楽しむためのガイド記事です。河合館長オススメの手塚作品5選も紹介しています。どうぞ併せてご覧ください!

「手塚治虫記念館の歩き方」全体像から3つの楽しみ方まで完全ガイド

2018年12月8日

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ABOUTこの記事をかいた人

じょにすけ

『火の鳥』に世界観を学び、自由に青春してる王道漫画の主人公たちに憧れ続けているイージュー☆ライター。一児の父。デザインも嗜んでいる。ひなたぼっこしながら漫画を読むのが至福のひととき。