マンガ大賞を制した『彼方のアストラ』の再読必至な超・構成力とは?匠の構成を徹底解説!

こんにちは!アラフォーのマンガタリライター、中山今です。

30代後半・・・家事に仕事に大忙しの毎日にも関わらず再読がどうにも止まらないマンガに出会い、嬉しい悲鳴をあげております!

そのマンガこそ『彼方のアストラ』です!!

2019年マンガ大賞、このマンガがすごい!オトコ編第三位など華々しい受賞が続き、チェック中の方もいらっしゃると思います。

端的に言いまして、『彼方のアストラ』は漫画賞受賞も納得の面白さ。

  • 高品質のSFミステリであり、
  • 血沸き肉躍る冒険、
  • 宇宙船アクション、
  • アツい友情物語

と、オモシロ要素ががっつり盛り合わせなんです。大好きです。大好きです!(大切なので2回言った)

しかし・・・その魅力的な各要素を差し置いて、私が『彼方のアストラ』に最高にシビれる部分ッ・・・

それが驚異の「構成力の高さ」です!!

私は『彼方のアストラ』を20回は読み返しており、そのたびに作品を貫く「芸術品のような作りの巧さ」に感動します。

そこで今回は、『彼方のアストラ』の構成力3つとジャンルの紹介、そして読んだ人の感想などを交え解説したいと思います!!

特に以下のには確実にヒットするハズ!

  • ミステリ好きな方
  • エンタメ作品の「作り」に感動するタイプの方
  • 伏線回収というワードに燃える方

思い当たる方、ぜひご覧ください!!

なお構成力についての解説ですので、内容のネタバレは含みません

そのため

  • ミステリ好きで、『彼方のアストラ』の面白さをネタバレなしで知りたい方
  • 『彼方のアストラ』の面白さをネタバレなしで広めたい方

もぜひどうぞ!(広める目的の方はどうぞこのサイトを相手に転送してくださいッ)

なお、同目的で「ファンが似てるとネットでつぶやいた映画を観て感想を述べることで魅力を伝えたい」という記事もあります。ネタバレなしに魅力を知りたい方はこちらもどうぞ!

『彼方のアストラ』が似てると言われる映画3つ観てみた!ネタバレなしで面白さのポイントを徹底解説

2019年6月11日

それではまず、『彼方のアストラ』の概要とあらすじをご紹介します!!

 

こちらの記事では伏線が潜んでるコマを掲載しています。

初見では絶対に分からない伏線が隠されているのですが、

「見過ごしてから、振り返って、ええええここにも伏線張られてたの!!!???」

という読み方をしたい方はこちらの記事を読むのはお控えください。

 

 

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1、『彼方のアストラ』ってどんな漫画?

彼方のアストラとは、少年ジャンプ+で連載していた「SFミステリアドベンチャー」漫画です。

彼方のアストラ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

作者 篠原健太
掲載サイト 少年ジャンプ+
出版社 集英社
発表期間 2016年5月9日 – 2017年12月30日
巻数 全5巻

受賞歴
このマンガがすごい!2019年オトコ編 3位
マンガ大賞2019年 大賞

マンガ大賞としては「初のweb連載作品での受賞」という部分にも注目が集まりました。

なお、2019年中にアニメ放映も決定しています。

『彼方のアストラ』メインキャラ9人高校生(+小学生)の9人が、宇宙サバイバルを生き抜く!

彼方のアストラ 1巻より引用

 

ストーリーの舞台は西暦2063年、誰もが気軽に宇宙旅行に行ける時代です。

登場キャラクターは同じ高校の生徒8人+小学生1人の9人。観光惑星でキャンプをするため、宇宙船で母星から飛び立ちます。

しかし安全なはずのキャンプ地に、不穏な謎の球体が出現。

謎の球体に吸い込まれ、9人はなんとクラストスーツのみで宇宙空間に放り出されてしまいます

宇宙服のみで宇宙空間に放り出されるという超アクシデント!

彼方のアストラ 1巻から引用

偶然近くを漂っていた無人の宇宙船に避難した9人でしたが、そこで絶望的な状況を知ることになります。

  • 母星との距離は5012光年、日数にして3ヵ月。
  • 通信機器破損のため救助要求は不可能、食料は5日分のみ。

正に絶対絶命!

そんな状況下、9人が考えついたのは食糧が取れそうな環境の星を転々と移動し、自給しながら母星へ帰ること!

母星へ帰る方法はたったひとつ、自給自足可能な惑星を転々として進むこと!

彼方のアストラ 1巻より引用

ティーンが力を合わせてサバイバルする「十五少年漂流記」を彷彿とさせますが、SF世界が舞台のため宇宙船・未知の惑星・未確認生物とワクワク度倍盛り!

そして1話目からひそかに進行する、「なぜこんな事態に?」「なぜ俺たちだった?」というミステリー。

冒険心を刺激されるスタートながら、メンバーの表情には少々不穏な空気も感じる・・・

彼方のアストラ 1巻より引用

 

冒険心あふれるSFサバイバルと緻密なミステリで構成される、超良質エンターテインメント漫画です!

 

 

2、異ジャンルを組み合わせ、伏線をコントロールする。『彼方のアストラ』の圧倒的構成力3つを解説!

構成力、とは物語の組み立て方のウマさのことです。

物語のアイディアはただ羅列するだけではなく、何と合わせるか?どこで出すか?などの組み立て方で、面白さがまったく違ってきます。

『彼方のアストラ』は↓3つの構成力で、もともと面白いアイディアをさらに面白くしています!

  1. 複数ジャンルをまとめる構成力
  2. 脚本の構成力
  3. ストーリーの構成力

それでは、この3つがどんなものなのか?シビれるほどってホントか?というところを、具体例を出しながら解説します!

大事なことなので再掲します。

こちらの記事では伏線が潜んでるコマを掲載しています。

初見では絶対に分からない伏線が隠されているのですが、

「見過ごしてから、振り返って、ええええここにも伏線張られてたの!!!???」

という読み方をしたい方はこちらの記事を読むのはお控えください。

 

2-1 異なるジャンルを融合させる構成力!「爽やか密室ミステリ」「10代惑星サバイバル」などの新ジャンルを作る巧みさに震える

『彼方のアストラ』は複数のジャンルをただプラスしただけでなく、各要素を素晴らしいバランス感覚で絡ませ、さらに面白くします!

『彼方のアストラ』は複数のジャンルを持つマンガ。大まかに言うと↓4つが挙げられます。

・SF
・ミステリ
・アドベンチャー
・ジュブナイル(ティーンの友情物語)

各要素の面白さについては別項にて解説しますが、どのジャンル単体をとってもクオリティの高い仕上がりです。

しかし『彼方のアストラ』の構成力はハイレベルなジャンルを融合させ、さらなる新ジャンルを作ります!

例えば、ジュブナイル×アドベンチャー×SFで、10代の少年たちが食料を得るためのサバイバルが超スペクタクルに!

大人ゼロでサバイバル。食料確保は謎の生命体と戦うところから!!

彼方のアストラ 1巻から引用

またミステリ×ジュブナイル×サバイバルで、なんと犯人捜しをしない「爽やかな密室ミステリ」勃発!

9人の誰かが通信機器を壊した×でもサバイバルだから人手がいる×絆も感じてる。

というわけで犯人特定はしない!明るい!!

彼方のアストラ 1巻から引用

また『彼方のアストラ』のストーリーの骨子は、構成要素すべてが絡むからこそ成立します。

以下、ネタバレしないためにふわーーーーっとした書き方をさせていただきますが・・・

  • なぜ俺たちだったのか?
  • どうしてこうなったのか?

という謎(ミステリ)は、実は生命の根幹を脅かす真実(SF)であることが明らかになります。
それはサバイバル(アドベンチャー)をして育った絆(ジュブナイル)があったからこそたどり着くことができるのです。

複数ジャンルを持っても、捨て要素なしで倍々で面白くする。
エンタメにうるさい大人も唸る、圧倒的構成力と言えます。

 

2-2 物語に引き込む脚本の構成力!良タイミングでストーリーを軽くし、伏線を自然に隠す「ギャグ」や「ラブコメ」が絶妙すぎる

 

『彼方のアストラ』のギャグやラブコメはストーリーのメリハリと伏線隠しの両方のレベルが高く、気づけば物語に引き込まれています

良い脚本の一例として、ストーリーのアクセントである「クッション」要素がベストなタイミングで入っているということが挙げられます。

『彼方のアストラ』で言えば、テンポ良好な「ギャグ」ほのぼの「ラブコメ」がシリアスなストーリーを軽やかにしてくれます。

初めて惑星に降り立つとき、巨大生物を見て大慌て。

ホントは危険なシーンながら、サクッと軽くて楽しいシーンに!

彼方のアストラ 1巻から引用

ただし、『彼方のアストラ』はミステリー。「伏線隠し」としてのギャグやラブコメも当然あります。

しかし、その伏線隠しのナチュラル度が半端なく高いです!!!

ほっぺが真っ赤なキュンキュン展開・・・実はストーリーの大元の謎の、最初の伏線なのですよ!?(誰が分かるんだッ!?)

彼方のアストラ 3巻から引用

クッションのタイミングが絶妙だからストーリーがダレないし、またそのクッションを使って伏線を仕込むから余計な説明も不要。

二重三重においしいギャグやラブコメ使いは、セリフ回しをコントロールする脚本の構成力が高いからこそ!

知らず知らず、スマートに物語に引き込まれていることに気づいたとき、その脚本の構成力に鳥肌が立つはずです・・・!

 

2-3 二重伏線が張られるストーリー構成!伏線回収・・・「に仕掛けられた伏線」にだまされる快感ッ!

「わかってたのにスルーしてたああ!!」という、ミステリ好き冥利に尽きるシビれを体感できます!

『彼方のアストラ』では、同じ伏線を2度回収することにより読者をハメてきます!

伏線の2度回収とは、例えば以下のような「伏線の使いまわし」のこと。

  1. 謎を匂わせる発言があり
  2. 発言後スグ(数ページ~1巻以内)に「青春エピソードの秘密」として回収
  3. しかし数巻後に「メインエピソードの秘密」として再度回収する

このページ、実は先ほどの項でも出しました。しかしこのシーン、ラブコメからのキャラクターの謎伏線・・・からの、メインエピソードの大いなる伏線のはじまり!再読しないとわからない!

彼方のアストラ 3巻から引用

このとき読者は、一度解決したエピソードをすっかり終わったものとして忘れてしまいます。

なぜなら最初の決着も、友情ストーリーとして超満足なものだからです。

秘密は明かされ、友情が芽生える。あたたかくステキな決着ですが、別な伏線はひそかに「活きて」います!

彼方のアストラ 3巻から引用

1エピソードの最初の決着は伏線隠しの「作業」ではなく、それ自体とても爽やかで感動したり、共感できたりするもの。

そのため読者はエピソードとしてはしっかり記憶にあるのに、伏線であるという疑いは捨てさせられてしまいます。その後、大いなる謎が判明したときのショックときたら!!

覚えているのに、気づけなかった・・・ッ!ストーリーの構成力の巧妙さに、ミステリ脳がシビれきっちゃいます!!

 

3、ミステリ、サバイバルアドベンチャー、SF、ジュブナイル。『彼方のアストラ』が持つ4ジャンルを徹底紹介!

『彼方のアストラ』は、個々のジャンルも良クオリティです!

この項では、以下4つの『彼方のアストラ』各ジャンルを紹介、解説させていただきます!

  1. ミステリ
  2. サバイバルアドベンチャー
  3. SF
  4. ジュブナイル

構成力により複数ジャンルがまとめられて面白くなる・・・と解説させていただきましたが、そもそもまとめなくてもハイクオリティで面白いのが『彼方のアストラ』の各ジャンル

ではどうぞご覧ください!

 

【ジャンル1】 ミステリ

『彼方のアストラ』のミステリは、アストラ号に乗船した9人がなぜ5012光年先に転送されたのか?なぜこの9人だったのか?というホワイダニット(犯人捜しではなく、なぜ行われたのか?を問うミステリ)ものです。

特徴 伏線は完全回収!そして「二重回収」がすごい!
二重回収とは? ひとつの伏線をいったんジュブナイルストーリーなどで回収し決着させるが、のちにミステリストーリーとして再回収する巧妙な誤誘導。
感想は? 謎が解けた瞬間も爽快だが、再読で二重回収の伏線を見つけるたびに巧さに唸る

母親の冷たい言動に心痛める少女、ユンファ。深まる仲間との絆により親の呪縛から解き放たれる。

しかし母親の言葉には、実は別な意味が込められていることが明らかに・・・!

彼方のアストラ 2巻より引用

 

 

【ジャンル2】 「サバイバルアドベンチャー」

母星と連絡が取れないまま5012光年(宇宙船で約3ヵ月)の宇宙船航行をし、かつ未知の生態系の惑星で食料を調達して回るハードな冒険モノです。

特徴 無人の惑星で襲い来る困難(動物、植物、自然災害)や宇宙船航行トラブル。そんな中でも食料確保をしないと死ぬという緊迫感がある
対抗策は? メンバーはそれぞれ突出した特技を持っており、かつこの冒険で育っていくチームワークで困難を撃破
感想は? 絶望的な状況でも希望のある、明るいアクションエンターテインメントにワクワクする

お互いを信頼し合い、困難な状況で力を合わせる!

彼方のアストラ 2巻より引用

 

【ジャンル3】SF

食料調達のために降り立った惑星の謎の生態系、ワームホールで宇宙に放り出された9人の生い立ち、そして世界の歴史。すべてに丁寧な解説のついた、安心のSF世界です。

特徴 母星と似た環境限定で選定された5つの未開の惑星や「宇宙旅行が当たり前になった時代」2063年の科学技術などの宇宙SF
解説方法は? 細やかな設定を丁寧に、かつストーリーの流れにのって解説してくれるため読者の置いてけぼり感がない
感想は? 次々に現れる不思議に素直にワクワクドキドキできるし、大いなる謎が明かされた時もちゃんとついていける

 

動植物の知識が深いキャラクター、シャルス。彼からクルーたち(読者)へと丁寧な解説がされる

彼方のアストラ 2巻より引用

 

【ジャンル4】ジュブナイル

親との軋轢を抱えたり、寂しさを持つ9人が血よりアツい友情を育みます。ストーリーを追いながら生まれる絆は読者を引きずり込み、まるで10人目のメンバーになったような気持ちにさせます!

特徴 9人は親に愛されていないと感じたり、田舎暮らしで友達がいなかったなどの理由で心に寂しさを抱えているが、極限のサバイバルを通し友情が育まれる
アツさとは? お互いを信頼し合い、困難を乗り越えて生まれた絆はメンバーを「家族」と言い切るほどのアツいもの!
感想は? ミステリやアドベンチャーを通して読者の心にも友情が芽生え、最終話を読むのがさみしくなるレベル

 

読者はこの強い絆が生まれる経緯をなぞっているので、深く納得できるはず・・・!

彼方のアストラ 4巻より引用

 

4、「ジャンルてんこ盛り!」「伏線の張り方やばい!」構成力に感動するtweetまとめ!

NETでも『彼方のアストラ』構成力に感動するコメントを見ることができます

Twitterは多くの『彼方のアストラ』ファンが集まるSNSです。

連載中、謎が明かされるとファンが驚きをつぶやき、その多さから最新話がTwitterトレンド入りするなどの現象も!

今回はそんなつぶやきの中から、ジャンルの融合に驚いたり、伏線の張り方にやばみを感じるなど構成力に感動した声を集めてみました

本記事で挙げた要素以外にも、「ビルドゥングス・ロマン(成長物語)」などのジャンルに着目している読者さんもいますね!

そしてみんな熱量を感じるコメントばかり。感動を物語っているコメントたちだと思います!

 

5、まとめ

本記事では、

  • 『彼方のアストラ』の超絶構成力3つについて
  • それだけでも面白い、ジャンル単体の質の高さについて
  • Twitterなどの構成力についての声

をまとめ、紹介させていただきました。

ミステリも超鮮やかですし、アクションやキャラの心理描写なども素晴らしい『彼方のアストラ』。

しかしその精密な工芸品的「造形」に鳥肌を立てることも、本作の楽しみ方のひとつだと思います!

最後に、2019年マンガ大賞を受賞された篠原先生のコメントを引用させていただきます。

「憧れていた賞なのですが、大人っぽい作品がノミネートされるというイメージを勝手に持っていて。宇宙で冒険するというバリバリの少年マンガが賞を取ったことに驚いています」

コミックナタリー 「ジャンプ連載会議でボツだった」、篠原健太が「彼方のアストラ」誕生経緯明かすから引用

先生に意見するなどおこがましいことですが、それでも大声で言いたいです。

「超テクニカルでシブくて、38歳ハマりまくりです!!!」とッ!!!

全5巻と読みやすい巻数にまとまっている本作。

ぜひ一気に読んで、構成力の妙に感動してください

中山 今

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