誰一人報われない物語 火の鳥『宇宙編』の中で輝く手塚治虫の遊び心

どうもおはようございます、マンガタリライターじょにすけです。

今回は、「火の鳥」連載シリーズの第4話をお届けします。

※そもそも「火の鳥」ってどんな漫画?という方は、まずはこちらからご覧ください。

「火の鳥」はどんな漫画なのか?基本情報・あらすじを徹底解説

 

今回とりあげる『宇宙編』は、26世紀の宇宙空間で繰り広げられるドロドロした人間ドラマが描かれています。刺激強めのグロい描写もあり、『未来編』とはまた違う意味で衝撃的な作品です。

実際に読んだ人たちの中には、「トラウマになった」「鬱になる」という声が挙がっています。苦笑

かと思えば、「面白かった」という人も多くて、「火の鳥」の中でも人気が高い編だったりもします。

そんなわけで、良くも悪くも、強く印象に残る問題作だというわけですが、、

今回も、『宇宙編』に込められた手塚治虫先生のメッセージに迫り、これからを生きるヒント、糧になるものを発見していきたいと思います。

どうぞお楽しみください。

 

1.『宇宙編』あらすじ

まずは、物語のあらすじをおさらいしていきます。

〜宇宙空間で繰り広げられる人間ミステリードラマ〜

時は2577年、宇宙空間で起こった1つ事故をきっかけに物語が始まります…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

隊長の城之内(じょうのうち)、隊員の猿田(さるた)、ナナ奇崎(きざき)、牧村(まきむら)が乗った宇宙船が隕石に衝突。

そのとき、宇宙船を運転しているはずだった牧村は謎の死を遂げていました。

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

 

牧村を除く4人は、それぞれ1人乗りのカプセル(緊急脱出船)で、壊れた宇宙船を後にします…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

 

4人は、無線マイクで連絡をとり合うことになりました…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

 

隊長の城之内は、脱出前、牧村の死体の横に「ぼくはころされる」というメッセージが残されていた事実を知り、「犯人は4人の中にいるわけだ。」と話し始めます。

はじめに疑われたのは、牧村とナナを巡って争っていた奇崎でした。しかし奇崎は、たしかに牧村とは「憎みあっていた」けど「人間的には尊敬していた」と否定。

4人は疑心暗鬼になっていきます。

そんな中、死んだはずの牧村用のカプセルが4人の後を追ってきていることに気づきます…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

 

後を追ってくるカプセルには、いったい誰が乗っているのか?

牧村の死の真相は?

ざっくり言うと、『宇宙編』は、それらの謎が解明されていく人間ミステリードラマです。

 

2. 読んだ人たちの感想

つづいて、実際に読んだ人たちの感想をご紹介させていただきます。

https://twitter.com/minami_shiga/status/854222157059989504

冒頭でも触れたとおり、良くも悪くも、深く胸に刻み込まれる作品ですね。

 

3. 僕が手塚治虫から受けとったメッセージ

物語が進むに連れて、徐々に謎が解明されていく『宇宙編』。

ここからは物語の結末を追いながら、僕なりの解釈で、この問題作に込められた手塚先生のメッセージに迫っていきたいと思います。

 

その1 罪と罰。人道を踏み外した者の末路…

なぜ牧村は謎の死を遂げたのか?

それは牧村が、過去に犯した残虐な事件の罰でした…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

 

罪を犯した牧村に、火の鳥は自らの生き血を飲ませます。

つまり、宇宙船の中にあった死体は偽物で、実は牧村は死んでなかったわけですね。

そして牧村は、流刑星という厳しい環境の中、永久に生きていかなければならない。という死ぬよりも苦しい罰をうけることに…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

 

https://twitter.com/g_woyoyo/status/890289655312031744

まさに生き地獄でしたね。

それについて、擬人化した火の鳥はこう言っています…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

これは、、

生命をないがしろにしない!

やっぱり、人の道に外れるようなことはしたらダメだよ。ということだと思います。

あと、余談ですが、牧村とともに猿田とナナも流刑星に流れ着いていました。そこで猿田は、胸に秘めていた想いをナナに告白します。「君が好きなんだ!」と。

しかし、ナナは最後まで牧村を愛していたので、猿田は牧村を恨み、殺そうとします。

牧村は不死になっているので、実際には殺せないわけですが、殺そうとした罪で、猿田も罰を受けることになります…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

鼻が異常に大きくて醜い顔をした猿田(さるた)の名を持つお馴染みのキャラクターはここからきているわけですね。

 

その2 誰の想いも実らない5角関係から学ぶ疑心暗鬼の破壊力

罪と罰の物語。そして、もう1つの『宇宙編』の特徴は、登場人物たちの愛と憎しみにまみれたドロドロの人間ドラマです。

1つの宇宙船に乗り込んだ5人の内、猿田、奇崎、牧村の3人は、ナナに想いを寄せています。奇崎と牧村はナナを巡って争いを繰り返していました。

猿田は先述したとおり、奇崎がいなくなり、牧村の真相を知ったことで、ナナに近づきます。

でも、この物語の中で、誰一人としてその想いが実を結ぶことはありません。

残酷で救いのない物語です。

いったい手塚先生は、この残酷で救いのない物語からなにを伝えたかったのでしょう?

そのヒントは、このセリフに込められているんじゃないかと僕は思います。

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

これは、、

あいつは◯◯だから、どーせ犯人はあいつなんだろう?とか

あいつのせいで自分の想いは実を結ばないんじゃないか?とか

確たる証拠もなく、そういった決めつけや、疑念に囚われることで、人間関係は崩壊するし、人道を踏み外すことにもなってしまうぞ、という警告なんだと思います。

ともに生きていく仲間のことを勝手な妄想で疑うな、というわけですね。

たしかに、疑うのも、疑われるのも気持ちいい感情ではないですよね。

人間関係で疑心暗鬼になったときは、この教訓を思い出すと、気持ちを違う方向へ持っていくのにいいかもしれません。

この救いのない物語の中で唯一、満足そうな結末を迎えたのは、

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

牧村の残虐な過去、真相を知って尚、母のような愛、大きな器で罪を許し、最後までともに生きることを決意したナナでした。

 

その3 手塚先生の独創的なコマ割への挑戦に勇気をもらう

『宇宙編』は、ドロドロした人間ドラマと、罪と罰を題材にした救いのないバッドエンドの物語です。

ただ、僕の個人的な嗜好として、ハッピーエンドで終わらせたい!というのがあります。

なので、ここまでは重たい内容の話が多かったですが、最後は気分の上がる話題で締めくくりたいと思います。

『宇宙編』で、ファンの間でも話題になっていることがあります。それが、、

枠に囚われない独創的なコマ割です。

4人が無線で会話する様子をこのように表現したり…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

 

それを自らぶち壊したり…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

 

回想シーンをこんな風に表現したり…

『火の鳥 宇宙編』角川ハードカバー版より

こんな感じで、コマ割が自由で斬新です。

今から約50年も前につくられた作品なのに、最新の漫画を読んでるような。。

そんな、新鮮な感覚で読み進められました。

きっと手塚先生も自ら楽しんでつくっていたんだろうなぁというのを感じます。

この「火の鳥」連載シリーズも4話目を迎えています。こうして改めて読み返してみると、、

「火の鳥」の中だけでも、手塚先生は毎回、新しいことに挑戦されていた。ということがわかりました。

  1. 漫画を通して日本の歴史を語りたいという意図をもって描き始めた『黎明編』
  2. 長編物語の2編目にして壮大な結末を描いた『未来編』
  3. 現存する歴史に疑問符を投げかけた『ヤマト編』
  4. そして、今作『宇宙編』の自由すぎるコマ割

手塚先生の常に新しいことに挑戦し続けるこの姿勢、スゴすぎです。

こういった先人たちの挑戦物語を目の当たりにすると、なんか奮い立つものがありませんか?

おれもやってやるぜー!みたいな。笑

ぜひとも、先人の挑戦物語や進化し続ける漫画に、わくわくしたり、興奮したり…

奮い立ちながら生きていきましょう。

 

まとめ

いかがでしたか?

僕なりに『宇宙編』をまとめると、

  • 生命をないがしろにしない!
  • 妄想で人を疑ったりしない!
  • あとは、自由にやろう。奮い立って。

という結果になりました。笑

 

この「火の鳥」連載シリーズもこれで第4話が終わり、「火の鳥」全12話のうちの前半3分の1が終わりましたね。

ここで一旦、ここまでの「火の鳥」に込められた手塚先生のメッセージをまとめておきます。

『黎明編』

  • 永遠なんて求めるな!
  • 愛があれば、孤独なんて怖くない。
  • 生きることをあきらめないで!

『未来編』

  • すべて理解できなくてもいいからどんどん次へ進め!
  • 戦争はもう絶対やめよう!
  • 歴史、人間を学び、過ちは正していこう。

『ヤマト編』

  • 目を開いて、よく観察した上で、想像力を働かせよう
  • なんのため誰のために生きるのかをよく考えて
  • 命を燃やし、悔いのない人生を送ろうよ

『宇宙編』

  • 生命をないがしろにしない!
  • 妄想で人を疑ったりしない!
  • あとは、自由にやろう。奮い立って。

 

いやー。熱いメッセージが多いですね。

そして、大人になって改めて読み返してみると、「火の鳥」やっぱヤバい。ヤバすぎる漫画です。

手塚先生が生涯をかけて描き続けたように、僕たちも生涯をかけて何度も読み返すことで、少しずつ理解が深まっていく漫画なんでしょうね。

今回改めて読み返してく中で、子供の頃には理解できてなかったことが、理解できるようになったものがあります。でも、まだまだわからないこともたくさんあって、、

その中でまた新たな発見あり、奮い立ちあり、とにかく読み応えありまくりです。笑

ここから、どんな物語が繋がっていくのか?

そしてそこにはどんなメッセージが込められているのか?

ひきつづき物語を楽しみながら、1つひとつ核心にせまっていきたいと思います。

 

次は「火の鳥」の中でも人気の高い物語の『鳳凰編』ですね。

またご報告いたします!

じょにすけ

 

「火の鳥」連載シリーズ

第1話:【まとめ】火の鳥『黎明編』読んだ人の感想と見どころ3選を紹介

第2話:壮大すぎる火の鳥『未来編』を何度も読み返して辿り着いた1つの答え

第3話:歴史ラブロマンス 火の鳥『ヤマト編』に学ぶ幸せな死に方

「マンガタリ」の管理人
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じょにすけ

仕事中に堂々と漫画を読んでたい。その夢を叶えるためにマンガタリのライターになりました。僕が漫画を読んでるとき=真面目に仕事してるときなので、途中で声をかけたりしないでください。