SFの巨人!?未来を超リアルに描いた宇宙開発技術入門書『鉄腕アダム』を紹介!

はじめまして。滝本洋章(たきもと・ひろあき)と申します。
熱く自分の好きなマンガについて語らせていただきます!

「SFマンガ、最近面白いのが多いな」と思いませんか?

個人的に最近のお気に入りは、「AIの遺伝子」「ディザインズ」「CICADA」辺りです!!

「なぜ、SFでいい感じの作品が増えてきているんだろう?」と思いませんか?

これは、現実世界におけるテクノロジーやサイエンスの進歩が、以前よりも急速に実現化していることと関係しているのでは?と思っています。
特に人工知能(AI)については、ほぼ毎日なんらかの形でメディアやニュースで取り上げられていますよね。

漫画はその時代における旬な話題を描いてきたメディアです。
だからこそ、今、SFマンガが熱いんだと思います!

そんなSFマンガの中でも、今回オススメするのは『鉄腕アダム』です。

この漫画は、描かれている未来を通して、現在進んでいる宇宙開発技術人工知能(AI)に関することを知ることができます。
入念な科学技術に関するリサーチを基に、作品世界が超リアルに設定されているのです。
さらに本編で描ききれなかった技術的内容は、より詳しくコラム形式の読み物として採り上げられています。
詳細な舞台設定に萌える人、「進撃の巨人」の”現在公開可能な情報”のようなウンチクコラムを思わず読み込んで、うなったような人にはかなりオススメです。

ちなみに、このマンガの敵キャラである「」はエヴァの使徒のようでもあり、『進撃の巨人』の巨人のようでもあります。
徐々に「」の正体が解き明かされていく様子は、個人的に「SFの巨人」って命名してしまいたいような内容で、両タイトルの謎解き部分にドキドキできた方には、ぜひ読んで欲しい作品です。

この記事では、『鉄腕アダム』の基本情報やストーリーを交えながら、マンガ内で取り上げられている宇宙開発技術のポイントや未来の生活をガッツリご紹介していきたいと思います!

1.『鉄腕アダム』の基本データ

鉄腕アダム 1 (ジャンプコミックス)
著者 吾嬬竜孝
出版社 集英社
連載雑誌 アプリ「少年ジャンプ+ 」月刊連載中
単行本 2巻(2017年10月現在)
 
作者は吾嬬竜孝(アズマリュウコウ)さん。『鉄腕アダム』が商業誌デビューとなる期待の新人作家さんです。
 
見たとおり、『TOY』の上条淳や『多重人格探偵サイコ』の田島昭宇のような、商品パッケージでデザイン起用したくなるようなオシャレ系の絵柄です。
 
使用するスクリーントーンの種類は少なく、陰影表現をあえて数種類に限定していることで、 余白の多い、いってみれば“ヌケ感”のある画風ですね。
 
表紙のインパクトは絶大です!
 
僕が『鉄腕アダム』を手に取ったのも、本屋で見かけたインパクトのある表紙がきっかけでした。
 
主人公・アダムの血塗られた顔のどアップに添えられコピーは、「無機と有機が立ち向かう、近未来ハイSF」と、SF好きなら思わず目を留めてしまいます。
 
見かけた時点でかなり気になりました。
 
中身をWEBで試し読みしてみたところ……
 
電子版を即買いしたという結果です。
 
 

https://twitter.com/VVKariya/status/771527728491212802

2.『鉄腕アダム』ってどんなストーリー?

今から30年ほど先のアメリカ。物語は2045年の夏から始まります。

2045年というのは、AI(人工知能)が発展していくなかで、AI自体が人間を超えた知性を生み出すと予想されている年であることは、一部の間では知られた話です。
この出来事を「シンギュラリティ(技術的特異点)」と呼びますが、AIが産んだ知性である主人公アダムこそが、シンギュラリティの生みだした1体目のヒューマノイドであり、アダムという名前はそこから取られています。

鉄腕アダム』の未来では、イスラム過激派との戦いが収束し、それまで台頭していた中国も、内部分裂によってかつての勢いを失っています。
そんななかで、勢力を回復したロシアは再びアメリカと対峙し、ここに第二の冷戦時代が始まりました。人々は、第三次世界大戦の勃発に恐怖しています。

さらに、度重なる異常気象や大気汚染、動植物の絶滅ペースが加速。人類は死にかけの地球から、新たな開拓地・火星への入植に希望を抱いています。

そういった時代背景のなか、2045年、その形状から「」と呼ばれる謎の飛翔体が地球を襲います。その実体は生物なのか、あるいは機械なのか? 有機体なのか無機物なのか? 大きな謎に包まれています。

アダムは人類ではなく、人類が創り出したAIです。この世界を間違った方向に導いたのは人類の判断で、AIであるアダムの判断の先にこそ、人類の希望の光はあるんじゃないだろうか――
と、徐々に物語の謎が解き明かされるにつれ、そんななテーマが感じられます。

理想郷を表すユートピアの反対となる社会を指すディストピア(暗黒郷)、暗い社会背景からはじまる本作品ですが、実はシンギュラリティが起こってアダムが誕生し、そこにが加わるという一連の出来事によって、最終的に「人類自身も進化しなければいけない」という、未来の人類に対する壮大なテーマが描かれていきます。

(画像は『鉄腕アダム』(集英社)電子書籍版第1巻より引用)

第1巻の冒頭シーンは、かなりデストピアな世界です。破壊された地球、おそらくは核攻撃、あるいは、蝶の最終攻撃による死の灰が降り注いでいます。

立ちすくんでいるのが、もう一人の主人公、ジェシー・マクスウェル博士です。

次の場面では、この物語の発端となる、月面基地に設置されたAI「デイジーベル」による暴走事故の際に、何者かとの間で交わされたチャットログが描かれています。

このやり取りに隠された謎が、終盤にかけて徐々に明らかになっていきます。
博士とAIとの出会い、アダムとの友情、蝶の襲来、この宇宙の謎をすべて解き明かすこと。
このログには、後半のクライマックスに繋がる、「お〜〜! なるほど!」の内容が含まれています。

このように、何度も読み返したくなる仕掛けが設けられています。

単行本の3巻以降、怒濤の謎解きが始まりますが、そのときには、ぜひ1巻のこのログを振り返ってみてください!!

3.近未来SF『鉄腕アダム』。ハードSFの王道です。

そもそも「ハードSF」とは

https://ja.wikipedia.org/wiki/ハードSF

ハードSF(英: hard science fiction)は、サイエンス・フィクションのうち、
(1)主流あるいは「本格」SF (ハードコアSFとも)、(2)科学性の極めて強い、
換言すれば科学的知見および科学的論理をテーマの主眼に置いたSF作品を指す。また、そのようなスタイルを指す

要は、テクノロジーやサイエンスが進むと、近未来にはきっとこんな世界がくるよってことを、できるだけ正確に描こうとしているSFってことです。

最近のマンガだと、弐瓶勉の『BLAME』や『シドニアの騎士』の路線ですね。

実際のところ、『鉄腕アダム』はかなりハードSFど真ん中の作品です。
本編の中で書かれる詳細な注釈にもあるように、その世界観は、かなり科学的なリサーチに基づいて構成されています。

例えば、冒頭の宇宙のシーンに新国際宇宙ステーションが描かれています。 

(画像は『鉄腕アダム』(集英社)電子書籍版第1巻より引用)

ちなみに、現在の国際宇宙ステーションは、1984年にアメリカ大統領レーガンが呼び掛けたことから始まり、1999年に建造が開始されて2011年7月に完成しました。
現在のところ、2024年までの運用が計画されています。

JAXAの国際宇宙ステーション(ISS)の特集ページが参考になります。
http://iss.jaxa.jp/iss/index.html

しかも、2024年以降は、ロシアは独自の宇宙ステーションの建設を予定しています。

アダムが描く未来のアメリカとロシアの対立軸は、現代において、既に予定されているのかもしれません。

参考)ロシアの「国際”じゃない”宇宙ステーション」建造計画
http://news.mynavi.jp/series/russia/001/

2024年には相当老朽化も激しくなっているでしょうから、もう一度新たな国際宇宙ステーションの建造を期待する声は十分にありそうです。

また鉄腕アダムの世界では、軌道エレベータが建造中です。

この軌道エレベータですが、静止衛星を飛ばし、衛星を中心として地球に向かうケーブルと、外側に向かうケーブルの間を結び、エレベータの要領で物資を運ぶという構想です。

この構想を実現可能なものとした技術は、1991年、NEC筑波研究所に在籍していた飯島澄男教授によるカーボンナノチューブの発見が大きく貢献しています。

参考)ケーブル伝いに宇宙へ、ロケットに替わる「宇宙エレベーター」実現への展望
 
 
従来の金属に比べて軽くて強い素材であるカーボンナノチューブは、名称のとおり炭素繊維です。

『鉄腕アダム』単行本第1巻の帯に書かれたキャッチ『無機と有機が立ち向かう、近未来ハイSF』。このキーワードに注目です。

無機有機の違いは、簡単にいうと炭素を含むか含まないかです。 カーボンナノチューブといったテクノロジーの進歩は、『鉄腕アダム』の世界観を構成する技術的な要素のひとつです。

実はこの『炭素』というキーワードは後々重要な意味を持ってきます。

このような科学的な考察に基づいた情報が、作品の随所に散りばめられることで、未来がよりリアルなものとしてイメージできるのです。

4.Twitterでの『鉄腕アダム』の評判を集めてみた!

実際、『鉄腕アダム』はどのように読まれているのか。
Twitterで感想を見てみると……

皆さん、『鉄腕アダム』を楽しまれていますね。
テクノロジーサイエンスにより興味を持つきっかけになっているのではないでしょうか?

ちなみに、『鉄腕アダム』の公式ページに掲載されている公式twitterには、作品に関する裏話的な情報や制作秘話などがあり必見です!

参考「鉄腕アダム公式Twitterアカウント」

5.『鉄腕アダム』を楽しむための3つのポイント

ストーリーが進むごとに、”世界にはどういう未来が待っているのか?

が徐々に明らかになっていきます。実際のストーリー上の謎はこの6点。

・蝶という存在の謎とその目的

・アダムと人類の関係はどうなっていくのか?

・そもそもジェシー博士とアダムの関係は?

・アダムは蝶とどう関わっていくのか?

・ジェシー博士の抱える秘密とは?

・月面で起こったデイジーベルの暴走事件の真相とは?

これらの疑問は回を追うことごとに、ストーリー展開とともに明らかになっていきます。

ここからは、『鉄腕アダム』を楽しむための切り口として、3つのポイントに注目していきます。

5-1.登場人物のセリフに溢れるサイエンスとテクノロジー

作品のストーリー展開にも、テクノロジーとサイエンスに繋がるキーワードが随所に見られます。
ここでは各キャラクターのセリフに注目してみます。

(画像は『鉄腕アダム』(集英社)電子書籍版第1巻より引用)

惑星の環境を変化させ、人類が住めるような環境にすることを「テラフォーミング」と呼びます。このシーンでは、ジェーン博士が、テラフォーミングについて語っています。

鉄腕アダム』の時代には、人類による火星入植が具体的に始まっています。注釈にもあるように、2045年現在、マリネリス峡谷の部分的テラフォーミングが進み多くの人間が火星へ入植しています。このことは後述する「ジェシー博士の科学講座」にも詳しく記述されています。

参考資料として取り上げられている『2035年火星地球化計画』によると、マリネリス峡谷は最も深いところで8kmもある火星最大の峡谷だそうです。

実際のところ、火星全体をテラフォーミングするのが困難であれば、この峡谷自体を巨大な屋根で覆うことで、温室効果ガスによる地球環境化が期待できるという考えが実際にあるそうです。

こういった「火星入植」の話は、かつては完全なSFでしたが、現在では、スペースX創業者兼CEOのイーロン・マスクによる計画発表辺りから、がぜん注目を集めてきているようです。

Mr. Musk Goes to Mars

5-2.本編の攻殻機動隊的な注釈が萌える

『鉄腕アダム』における注釈ですが、そもそも漫画での圧倒的な注釈量で有名なのは、やはり士郎正宗のマンガ版『攻殻機動隊』でしょう。

『攻殻機動隊』にに散りばめられた文字情報を一文字も落とさず読んでいこうとすると、全然ページが進みません^^。

設定は細部まで作り込まれており、その情報量は相当なもの。
ただコマを追っていくのでなく、今でいうググりながら読んでいく読書スタイルの走りのような作品です。

鉄腕アダム公式Twitterを見ると、作者さんも意識されているようですね。

(画像は『鉄腕アダム』(集英社)電子書籍版第1巻より引用)

『鉄腕アダム』でも、たとえばこのページでは、「ミーム」に対する注釈と「アーミッシュ」に対する注釈が書かれています。

ミームとは人々の間で心から心へコピーされる情報のこと
ググってみると、このミームという言葉は、動物行動学者、進化生物学者であるリチャード・ドーキンス博士が、著作の『利己的な遺伝子』で使用した言葉だということが分かります。

アーミッシュに関しては、
移民当時の生活様式を保持し、農耕や牧畜によって自給自足生活をしているキリスト教徒
ここでいう移民とはアメリカ移民当時のことです。 現代から200年以上前であり、アダムたちの2045年世界から見ても相当古い話ですね。

ちょっとした注釈にも様々な情報が散りばめられています!!

5-3.『鉄腕アダム科学講座』舞台設定の注釈コラムが熱い!

『鉄腕アダム』の各話の間に、コラム『鉄腕アダム科学講座』が掲載されています。

このコラムは、ジェシー・マクスウェル博士が、2045年『鉄腕アダム』の世界における科学的質問に答えるという体裁で進んでいきます。

ストーリーの世界観を、コラムなどでさらに詳しく解説していくというスタイルは、漫画版『進撃の巨人』でも見られました。この手の解説は、何でもググりたくなるタイプにはグイグイ刺さりますよね。

『鉄腕アダム科学講座』No.1 人類はどうやって火星にいけるのか?

火星環境を改善するテラフォーミングや、他の惑星への応用の可能性などが解説されています。
さらに詳しく知りたい人にオススメの書籍紹介もあります。

『鉄腕アダム科学講座』No.2 すでに一般化している人工知能(AI)

話題のAIですが、「自分の仕事が将来はなくなっちゃうってホント!?」みたいな身近なところから、AI脅威論は非常に盛んです。
『鉄腕アダム科学講座』によれば、2045年の世界でもAI脅威論を唱える人はかなり多いとか。

『鉄腕アダム科学講座』No.3 再使用型宇宙往還機って?

再使用型宇宙往還機」とは、スペースシャトルのように何度も再利用できる宇宙船のことです。宇宙船は使い捨てがいいのか、再利用がいいのか——という問題を、コスト的な側面から解説しています。

スペースシャトルは開発費こそかかりますが、再利用可能であることから運用コストが下がるという触れ込みで開発が始まりました。
しかしながら、あれこれ何でもできる仕様を目指しすぎた結果、開発コストが莫大になっていったのだそうです。

こんな国レベルの巨大プロジェクトですらそうなのですから、私たちの身近な生活家電でも単機能製品が見直されるようになるなど、よりシンプルな方向へと向かうワケですね

6.まとめ〜独特のライトさで、テクノロジーとサイエンスに近づこう!〜

 
「鉄腕アダム」は、オマージュ、引用、サンプリングといった手法を多く取り入れることで、作品が持つ情報や世界観を、広く網の目に展開しています。
 
インターネットのプロトコルである、”www”とは”WorldWideWeb”の略であり、クモの巣状に張り巡らされた情報網を表しています。
 
鉄腕アダム』のストーリー上の伏線や舞台設定、注釈、科学講座、これら作品全体の構造は、現在のSNSネット社会に即した、新しい漫画表現を目指しているように思えます。

 

 『鉄腕アダム』には独特の空気感があります。
 
これは、デザインや絵柄からくるものでもありますが、音楽でいえば、中田ヤスタカが作り上げたPerfumeのような、いい意味でのライトさと、リアリティの無さからくる浮遊感が感じられます。
 
泣いたり笑ったり、感情が大きく揺さぶられるのではなく、『鉄腕アダム』が持つ世界感を、キャラクターの少し斜め上から、第三者的視点の定点カメラ感覚で楽しむ。
ただし、この入り口のライトさも、話数を重ねるごとに、扱うテーマが「人類の存続やその未来」といった深淵なものになっていくので、徐々にその世界観に引き込まれていきます。
 
まるで、VR(バーチャルリアリティー)を体験したときの感覚なのです。
 
SFを読むということは、明るい未来を体験することに繋がります。
 
ぜひ、サイエンスとテクノロジーに興味を持ち、自分の生活にSFの視点を取りいれてみてください。未来を身近に感じられるはず!
 
そんなプチ未来体感に『鉄腕アダム』 は超おススメの漫画です!
 
最後までありがとうございました。
 

「マンガタリ」の管理人
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